グッドフェローズ

本当に少し前まではギャング映画なんて少しも興味なかったのになあ。

ゴットファーザー見てから映画の嗜好が大きく変わった気がする。

今回は若い頃のロバート・デ・ニーロ見たさに鑑賞。

ロバートは落ち着いてて、何もかも俯瞰してる役柄ばっかりかなと思ったけど

今回はとってもぶっ飛んでいて、予想を裏切る形でとても良かった。


【あらすじ】

アイルランド系の父とシチリア系の母の元で育ったヘンリー・ヒルは、物心がついた頃からマフィアになる事を夢見ていた。11歳の時にニューヨーク・ブルックリンのタクシー配車センターでマフィアの手下となり、闇煙草の密売、偽造クレジットカードの使用から始まり、トラックの荷物強奪や違法賭博・ノミ行為・八百長試合の設定といった大きな犯罪に手を広げていく。彼の所属組織はポール・ヴァリオ(劇中ではポール・シセロ)がボスであり、同僚にはトラック強奪を得意としたジミー・バーク(ジミー・コンウェイ)や武装強盗と殺人に秀でたトミー・デシモネ(英語版)(トミー・デヴィート)がいた。


【レビュー】※ネタバレあり


主人公のヘンリーは、家族に対しては冷たいけど

仲間内では割と優しくて、うまく立ち回っていたのが妙にリアルだった。

トミーみたいに狂ってないし、ジミーほど幅も利かせないし

でもみんなに信頼されてて、なるべくトラブルは避ける。

周りに合わせて大して面白くない話で笑うときの笑顔が

「あーこう言う笑い方する人いるー」って感じでリアルだった笑

わざとらしいような、でもみてるとこっちまでつられて笑ってしまう感じ。


あとはポールが何気にすごく好き。

なんだろう、あの落ち着いて信頼できる感じ。

まあ小さい頃から面倒見てくれてるって言うのもあるんだろうけど

ギャングと言えどもなんでもOKじゃなくて

ちゃんと自分の中でルールがあって、危ないことには手を出さない。

携帯を持たないエピソードとか最高だった。

電話した?って直接尋ねて行って、電話してって言われても

OK、って大人しく公衆電話から電話するって言う。

芯が通ってて頼れる感じが滲み出てていい!


逆にトミーがもう嫌いすぎる。

すぐトラブル起こすし、なんて言うか、うるさーい!って感じ。

いちいち突っかかるし、典型的な民度の低いギャングを

ジョー・ペシが上手く演じてたなあ。


でも彼、アイリッシュマンでは素晴らしく能力の高い役を演じてたから

このギャップがすごいと思う。

こんなキャンキャン騒ぐ子犬みたいな役もできるんだなあ、と。


そしてジミー。

ジミーの演技で印象に残ってるのは

トミーがバッツにからかわれて、異様にキレたシーン。


一旦退出したものの、復讐するためもう一回店にきたとき。

ヘンリーは慌てて止めようとするんだけど

ジミーはトミーが来るのを待っていたかのように蹴り続けて撲殺。

その、少しも驚かずに何もかも見透かしてるかのような表情がとにかく最高だった。

バッツが死んでくれた方が、ジミーにとっても都合が良かったのかもしれないけど。


それで遺体を3人で埋めるんだけど、こっからの展開がまたすごくて。

あの場所マンション立つらしいからやばい!ってなって

なんともう一回遺体を掘り返すという。

ヘンリーはもうヘロヘロで見ててかわいそうなくらいだけど

トミーの異様なハイっぷりが怖い。

「なんか肉出てきたー、腕かな、どこの部位かなっ」てすごいはしゃいでて

それ見てジミーも笑ってるし。この2人は狂ってる。


あとはトミーがバーテンダーを怒りに任せて撃ってしまうシーン。

一回目は足を撃ってしまうんだけど

こう言う時に咄嗟に駆け寄って心配するところに

ヘンリーの優しさというか、普遍性が出てて見てる方も少しほっとする。

あ、この世界って一応普通の感覚も存在するのねって思って、作品と距離が取りすぎずに済む。

で、足を治療してまた同じバーテンダーが出てくるんだけど

彼も彼でなぜかものすごい強気で、トミーに暴言を吐く。


そのときのジミーの表情がこの作品上で一番いい!

「うぉっえっ今の聞いたー?」みたいな

茶目っ気のある、はしゃいだ感じの表情。

「あんな強気に返されたら、もう何にも言えないよねー」って

すごく楽しそうに話してて。

あんな顔できる人、他にいないよなあ。ギャング映画で。


それでとってもいいシーンなのに、トミーはまたもや暴発。

結果バーテンダーは死亡。

その瞬間に怒り出すジミー。

「自分で埋めろよ、もう手伝わないからな」って、また埋めるんだあ。

あーこわい。


最終的にヘンリーがジミーやポールを裏切って

保護されるところは、なるほどなあと。

若い時からお金儲けて、世の中の厚遇を受けまくってきた結果がこれかあ。

自由もお金も何も残らない。

ポールはすごく面倒みてくれたし、薬に手を出すなって警告してたのに。

その人まで裏切るとは。

でもそうでもしないと生き残れない世界にヘンリー入ってしまったってことですね。


作品の流れはテンポ良くて、無駄だなっていうシーンとかセリフもなかったし

最後まで飽きずに見れた。

スコセッシの作品は特に、意味のわからない会話で飽きちゃう時があるので。。


あとはギャングを美化していないところが逆に良い。

筋を通して必要な時だけ殺しをやる、っていうのがゴットファーザーのパパだとしたら

ここで描かれてるのは、邪魔になったり不要になった人はどんどん消してくってやり方。

これはその場しのぎでカッコ悪いと思われるかもしれないけど実際は多分こうなる気がする。

殺しを隠すのにはまた殺しが必要になるもんね。

お金を得るための計画を立てれば裏切り者が出る、だからまた殺すしかない。

組織に入れば得るものも大きいけど、失うものもたくさんあるってことか。


何よりこれほぼ実話なんだよなあ。

勢いよく銃を撃って、お金たーくさん儲けて、好き勝手に暮らしているギャングでも

最終的には仲間を売って警察に保護してもらわないと生きていけなくなってしまう。

ギャング=かっこいいみたいな構図をスマートに壊してくれる作品です。

もう30年前の作品だけど、古い感じがしないので、またみようかなあー。

m e t e o r

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